【森と空と水とたわむれた旅 2016.5】
屋久島に行ってみた。プロペラ機で。
【白谷雲水峡(1日目)】
島に到着してからのんびりラーメンなんか食べてたせいで、白谷雲水峡到着は14時過ぎになってしまった。
「太鼓岩までは無理かもしれませんね」と入口で言われ、そう言われると行きたくなる(笑)。太鼓岩は「絶景」とのことだし。
どれどれ、どれくらい絶景なのか見てみよう。とりあえず屋久杉の森は後回しにして、太鼓岩までぶっ飛ばす(笑)。
かくして辿り着いた太鼓岩からの眺めは。はぅ!!これは確かに絶景!!!(ごめんナメてた太鼓岩、笑)
正面に宮之浦岳をはじめとする奥岳の山々の連なり。なぜだかわからないけれど、あれが宮之浦岳だ、とわかる。まぁ一番高いからというのもあるけど、山がそう言っているのを感じる。
そして、眼下に広がる森。森がとても美しい。新緑の時期だから?これには正直驚いた。思ったほど熱帯の森ではなく。かといってこちら(信州)の森とはまた違う。
おそらくは原生の混交林、生き生きとした色とりどりの木々で満ち満ちた森。その美しさは、まさにハーモニー。岩の上に腰を下ろし、ただただ見とれる。こりゃ〜いいや♪実にいいもの見ちゃった♪♪
帰りは誰もいない屋久杉の森を時に川を渡り木の股をくぐり歩く。水が岩の間を流れる少しこもったこぽこぽ言う心地よい瀬音を聞きながら、苔むした森とたわむれた旅。
【宮之浦岳(2日目)】
家を出るときの予報では天気は持つはずだったのに、前日シュラフを借りに立ち寄った山道具屋の人が「明日夜から雨だって〜」と言う。ち。さすが雨の屋久島というべきか。
それじゃあ、天気が持つうちに宮之浦岳へ行くべか。というわけで淀川の登山口から宮之浦岳を目指す。朝のうちは曇っていたが、稜線に近づくにつれ次第に青空に。
昔、宮之浦岳はもっと熱帯ジャングルな山だと思っていた。けれどある時見た写真で、青空が似合う花崗岩の山だということを知り、これなら行ってみたい!と思ったのだった。
そしてこの日、まさにこれが見たかった!!とでも言うべき青空に映える宮之浦岳に登ることができた。
奥岳の稜線には花崗岩の巨岩奇岩が点在。それ、自然にそうなったとか言わないよね、絶対誰かが置いたよね&割ったよね。でもあんなにでっかいの一体誰が?神が。。。っていう光景が、そこここに。
道中は思ったよりずっと涼しく快適。尾根なのに?昨日は晴れなのに?水がどこからともなくあふれて登山道を川にしてる。こんな標高で瀬音を聞きながら歩くなんて何だか新鮮。
1ヶ月に35日雨が降るという屋久島だからだろう。水の豊かな山なのだ。ただようの空気の冷たさは、上高地を思わせる。土地が水をたっぷり含んでいる証だ。
花崗岩の礫がさくさくと音をたてるのに耳を傾けながら歩く道は、山の上なのに浜辺のよう。
帰路は黒味岳へ立ち寄り、心地よい太陽の光の下「洋上のアルプス」上に寝転び、爽やかな青空とたわむれた旅。
【縄文杉(3日目)】
天気予報は曇だったけれど、山はそうはいかなかった。屋久島の洗礼とでも言うべき雨の中、荒川登山口から縄文杉を目指す。道のりは往復22キロ。
私は濡れるのが大嫌いなのだけれど、森の中で当たる雨は、言わば木々の雫。そしてこの森を潤す命。いのちの雫を手のひらに受け雨音を聞きながら、これが屋久島か。とひたすらに歩く。
霧にけぶる森。そこここに今まで見たこともないような太さの大木が苔むし転がっていて、朽ちてもなお美しく、切り倒さなかったならば一体どこまで大きくなったのだろうと思う。
むせかえるような視界一面の緑、濃く満ち満ちた森の気、そして圧倒的な存在感の木々。何もかもが圧倒的でその威容にただただ圧倒され、「すごい」しか言葉が出てこない(笑)。
内部が6畳くらいある切り株、怪物みたいな存在感の縄文杉。今まで接してきた大らかでやさしく包み込むような静的な木のイメージをぶっ飛ばし、ここ屋久島の彼らは動的エネルギーを感じさせるまさに「生き物」。
屋久島は私たち人間のテリトリーではなく、彼ら(植物?超自然?)の王国だった。
自分の知る「木」や「森」の範疇をはるかに超える光景に出会い、既存のスケール感がひっくり返った。こんなのが当たり前の日常で生きたらどんな風になるんだろう。
雨、終日やまず。まぁ屋久島の雨に洗われるなら、それもまたいいか。22キロも歩けばどうにもこうにもびっちょんこ、1日中雨音を聞いて、水とたわむれた旅。
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屋久島。力強く、水が、いのちが、めぐる島。
私、そのうち「緑化」やりたいな〜って思ってたんだけど、緑化なんて生ぬるい!ここ(都会)に屋久島持ってこーい!!って感じ(笑)。
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